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乳房再建Q&A

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セカンドオピニオン

ここでは診察室やカウンセリングルームでよく聞かれる質問をいくつか挙げてみました。
そのほかのことは直接担当医やナースにお尋ねください。

Q 放射線照射をしていると再建はできませんか?
Q 乳房温存術でも再建が必要になるのですか?
Q 再建した乳房は健側の乳房と同じになりますか?
Q 昔から小さいので一緒に豊胸したいのですが・・・
Q 脂肪注入で乳房は再建できますか?
Q 乳房再建はどのくらい費用がかかりますか?
Q 乳房切除術から乳房再建までどのくらい待てばいいのでしょうか?
Q 回復にはどのくらいの期間が必要ですか?
Q 再建は乳がん検診に支障はありませんか?
Q シリコンインプラントは安全ですか?これは永久的なものですか?
Q 悪性リンパ腫について教えてください。今、入っているものを抜いた方がいいですか?
Q

放射線照射をしていると再建はできませんか?

A

再建ができないとは思いません。しかし、難易度が高くなることは確かです。また特に人工物での再建を希望される場合は、放射線照射していない方に比べ、時間もかかり、結果も劣ってしまうことも確かです。

再建乳房は大きさ、形のほかに柔らかさということもとても重要です。放射線照射をしている組織は当然やけどしていますので、通常の皮膚よりも伸びにくく、硬く、乾燥しやすく、血のめぐりも悪いです。よって同じ柔らかさのシリコンインプラントを入れても、その袋となる皮膚が硬ければ柔らかさを感じなくなってしまいます。

また、合併症の項でも述べたように、被膜拘縮も起こしやすいため完成度も劣ってしまうことは覚悟しなければなりません。また、再建途中で皮層が破れてしまい結局は広背筋皮弁を併用することも約25%は考えられます。そのようなことも考えた上で再建するかどうか決めてください。

自家組織で行う際には、放射線照射したところを取り除いて腹直筋皮弁などで再建することが多いので、手術としてはかなり大掛かりになりますが、安全性は高いでしょう。

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Q

乳房温存術でも再建が必要になるのですか?

A

温存手術を受ける前、手術の後の乳房の形は『そんなに変わらない』『ちょっと小さくなるだけ』『傷がつくだけ』『少し凹むだけ』というイメージを持っている方がほとんどです。
実際に外科の先生にそう言われたという患者さんもいらっしゃいます。『ちょっと』『さほど』『少し』こんな曖昧な言葉では人間の想像は良いほうに考えてしまうのは当たり前かもしれません。

もう一つの問題は、温存して残した乳房に放射線をかけなければならないということです。放射線はやけどです。ましてやがん細胞が再発しないように焼かなければ意味がないのです。
放射線をあてれば中の乳腺だけが焼けるわけではなく、表面の皮膚もやけどします。やけどした皮膚の下に、どんなに柔らかいシリコンインプラントが入ろうと、筋肉や脂肪を入れようと、皮膚が硬ければ柔らかくは感じられません。

温存手術をされた方で、形成外科を訪れる患者さんはほとんどの方が『こんなになるとは思わなかった』『こんなはずではなかった』という言い方をされます。そして再建の難易度は非常に高くなります。
もちろん温存手術をしても、形も柔らかさも問題ない方もたくさんいらっしゃるでしょう。それなら本当にやってよかったと思える手術でしょう。

手術をした皆さんがそう感じていただかなければ、温存手術の意味がありません。自分の場合はどうなるのか、なりそうなのか。もう一度担当医とよく相談し、理想を追わないように気をつけてください。温存に固執せず全摘+再建という選択肢も考えてみましょう。

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Q

再建した乳房は健側の乳房と同じになりますか?

A3

大胸筋の下にシリコンインプラントを挿入して再建された乳房は、手術をしていない側と全く同じというわけにはいきませんが、服や水着を着たときにはほとんどわからなくなり、また、人と入浴しても気づかれないくらいにはなると思います。

当初から健側の乳房が極端に小さかったり、大きかったり、垂れている場合、しばしば健側の乳房に手を入れてバランスを取ることがあります。

豊胸術、縮小術、拳上術がそれです。これは別途料金がかかりますが、せっかく再建する乳房の対称性を得るためにどうしてもやらなければならないこともありますので、担当医とよくご相談ください。

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Q

昔から小さいので一緒に豊胸したいのですが・・・

A3

再建における豊胸には二つの理由があります。一つは元々小さく、豊胸したいと患者さん自身が思っていらっしゃること。もう一つは小さすぎて合うシリコンインプラントが存在しなかったり、術後ホルモン治療をしたことで以前よりも健側がしぼんでしまい豊胸しないと再建側と対称性が得られないことです。

豊胸は乳房下溝と呼ばれる乳房の下方のしわを切って、大胸筋の下にコヒーシブシリコンインプラントを挿入します。コヒーシブシリコンインプラントは術後のマンモグラフィーでも壊れません。もちろん再建後でもできますが、なさりたい気持ちがおありなら、再建手術と同時にやった方が、手術の回数が少なくて済みますので、ご希望の方はご相談ください。

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Q

脂肪注入で乳房は再建できますか?

A3

脂肪注入はいまや大流行のようですが、これにはまず2種類あります。単にお腹や太ももの脂肪を吸引し、そのまま注入する方法と、吸引された脂肪を高速で遠心分離して、不純物やオイル成分を取り除くなど処理をして、幹細胞と呼ばれる細胞を含んだ脂肪のみを注入する方法です。

前者は簡単ですが、その6割は生着せず、オイルとなって溶け出したり、ミイラ状に固まって乳がんと間違えられたりします。幹細胞脂肪の生着率は85~93%と言われますが、100%ではありません。
特に放射線照射している場合の生着は非常に難しく、まだ長期成績は出ていないのが現状です。どんなに「私は太っているから脂肪がたくさんあるの」と思っていらしても、その脂肪に不純物が多ければ、ほとんどが遠心後に捨てることになってしまいます。よって結論としては、脂肪注入だけで乳房再建はできないと思っていただくのが正解です。

ただ、インプラントで埋めきれない鎖骨下の凹みやインプラントの形がくつきり見えてしまっているところ、リップリングと呼ばれるシリコンインプラントのしわの部分に注入することは非常に効果があります。当院ではそのようなお悩みをお持ちの患者さんには積極的に脂肪注入を行っており、良い結果が出ています。



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Q

乳房再建はどのくらい費用がかかりますか?

A A
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Q

乳房切除術から乳房再建までどのくらい待てばいいのでしょうか?

A

これは患者さんの状況と外科医の考え方次第です。イミーディエットがあるくらいですから、乳房切除を行えばすぐに再建できるということもあるでしょう。しかし、がんの種類、進行度などにより、せっかく再建してもそれを捨てなければならなくなることもあるのです。

特に自家組織で再建した場合は、元の通りお腹や背中に戻せるわけでもなく傷もなくなるわけでもありません。よって外科医によく相談してください。

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Q

回復にはどのくらいの期間が必要ですか?

A

再建方法、乳房切除からの期間によっても異なりますが、人工物による再建は日帰りで可能です。ただ、最初のエキスパンダー挿入術はかなりの痛みを伴いますので、1週間後の抜糸までは仕事復帰はできないと考えてよいです。
エキスパンダーがきれいに入っていればシリコンインプラントへの入れ換えは非常に負担が軽く、痛みもほとんどありません。

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Q

再建は乳がん検診に支障はありませんか?

A

乳房再建はがんの再発を誘発も予防もしません。よって再建後もあなたは定期的な検査を続ける必要があります。人工物の再建においては、エキスパンダーもシリコンインプラントも大胸筋の下に入りますので、再発の診断の邪魔になることはありません。


触診だけでなくマンモグラフィーや超音波、CTなどは再建中も再建後も全く問題ありません。ただ、エキスパンダー挿入中は金属が体内にあることを忘れないでください。よってMRI撮影はできません。


また骨シンチでも、金属部分に集積がみとめられることがあります。よって再建を始める前に外科医にMRIを撮っておく必要がないかを確認してください。

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Q

シリコンインプラントは安全ですか?これは永久的なものですか?

A

コヒーシブシリコンインプラントは1994年頃からヨーロッパ中心に使い始められました。これは今までの中身が液体のシリコンインプラントや生理食塩水バッグと異なり、コヒーシブ(固着性の)という名の通り中身が固体であることが特徴で、万が一破れたり、穴があいてもそこからニュルニュル染み出てきたり、急にぺちゃんこになることはありません。ちょうど『ぎゅうひ』『グミ』のようなものだと思っていただければわかりやすいと思います。

現在これが最も新しく、安全性も高いと考えていますが、今後もっと優れたもの、もっとよいものが出てくるかもしれませんし、出てこないかもしれません。そして1年に1回のフォローは必要です。常にきちんとした形成外科の専門医に相談し、再建後もきちんとフォローしてゆくことが大切なのです。

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Q

悪性リンパ腫について教えてください。今、入っているものを抜いた方がいいですか?

A

インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)は、第一例が1997年生理食塩水バッグで豊胸を行った方に認められて以来、欧米を中心に調査が開始された病気です。多くの患者さんは豊胸の方、特にアラガン社製のテクスチャードタイプ(表面がザラザラ)のインプラントを入れていた方だったため、アラガン社はそのインプラントを販売停止にしましたが、もちろん他のメーカーのインプラントでも発症しています。

発症はインプラントを入れて平均8年、FDAによれば2022年までに世界で1130名の報告があります。日本はこれまで5名の報告があります。

欧米の患者さんは主に、急激な腫れ(リンパ液の溜まり)や発赤ですが、日本は5名のうち3名が腫瘍で発見されています。

早期であればインプラントと被膜を切除すればそれで完治ですが、悪性リンパ腫に対する抗がん剤治療を行うこともあります。

当院でも該当のインプラントを使用している方はいらっしゃいますが、厚生労働省のHPにも「今、急いで抜去する必要はありません」とあるように、年に1回の経過観察、超音波かMRI検査をしていて問題がなければ、急いで取り換えたり抜去する必要はありません。

そういう意味でも、再建であれ豊胸であれ、1年に1回の検診は必ず必要です。

当院では他院で再建、豊胸した方のインプラント検診を行っておりますので、ご希望の方はお問い合わせください。
03-5793-5070

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